初心者ベーシストに贈る名盤10選

今日は(既に昨日だけど)初心者向けベース講座をやりました。人がいっぱいいてやりがいがありました。どうもありがとう。

で、よりベースを楽しむために「これ聴け!!」な10枚を選びました。
コピーしろ、っていうより、ベースの面白さをもっと知ってもらうための10枚+関連盤(1枚のアルバムにつき約2枚)です。
それじゃあいくぜ!


Mother's Milk / Red Hot Chili Peppers(b.Flea)

「ベースヒーロー」Fleaは外せないだろうということで、Californicationと迷った末にこっちを選びました。
Chad Smith(Dr.)とJohn Frusciante(Gt.)加入後初のアルバム。今のRHCPにはない、熱と勢いを感じられます。
特にM8は必聴。バンドのすさまじいグルーヴと、間奏ではFleaの怒涛のスラップ・ソロを聴くことができます。
また、ライブでのおバカなパフォーマンスにも注目です。いつかの野外フェスの映像で見られる伝説の衣装…彼らには敵いません。
RHCPからは、『バンドを楽しむ』という姿勢を学べるような、そんな気がするのです。
関連ディスクは同じくミクスチャー畑からRage Against the Machine(b.Tim Commerford)の『rage against the machine』、
またFleaからの影響を強く受けたベーシスト、上ちゃんを擁するマキシマムザホルモンから『ロッキンポ殺し』を挙げておきます。


ark / L'Arc~en~Ciel(b.tetsuya)

対となる『ray』含めこのバンドのアルバム全てを推したいのですが、最もコピーした(気がする)これを挙げます。
壮大なスケールの中でもドライブしまくるM1、強烈なベースラインで有名なM2、グリスを使った疾走感が印象的なM3など、
この1枚をコピーしときゃ運指・ピッキングどちらの点でも(単純にフレーズを辿るだけなら)大抵のJ-POPの曲は弾けると思います。
この人の特徴は、指板上を縦横無尽に動きながらもボトム感を失わず、かつ歌メロとは決してぶつからないプレイです。
考えが凝り固まっている人は、tetsuyaにベースという楽器の概念をぶっ壊してもらうといいと思います。ベースの役割はリズムだけではないよ。
ベーシストとして影響を受けた人とかはあんまりないそうです。バンドはThe Cure(b.Simon Gallup)が好きなようで、ベタに『Greatest Hits』とか。
また、UVERworld(b.信人)がL'Arcからの影響を公言していたように記憶しています。じゃあ関連盤は聴いたことがある『BUGRIGHT』で。


無罪モラトリアム / 椎名林檎(b.亀田誠治)

アレンジャー・プロデューサーとしての亀田誠治出世作、ということになるんでしょうか。椎名林檎の1stです。
なぜかweb上で「歌うベースラインの人」としてよくL'Arc~en~Cielのtetsuyaと対比される傾向にあるんですけど、
彼が感覚だけで弾いているのに対して、亀田誠治のほうが経験からくる知的な・計算されたプレイ、なような気がします。
洗練されていて、必要なボトムは抑えてるんですけど、時折一気にヴォーカルに寄り添うという印象です。オイシイところを持っていきますよね。
歪んだサウンド、フィルの差し込み方、フレーズ、見た目(特にLive DVD『Electric Mole』時)など、正統派の変態といった感じですね。
関連ディスクは、亀田自身がPaul McCartneyから影響を受けたと語っているのでThe Beatlesの『Abbey Road』。聴いてないけどね。
もっと過激な亀田サウンドを聴きたかったら東京事変の『教育』。M3、M4、M10がオススメ。良い感じに変態してます。


Black Sabbath / Black Sabbath(b.Geezer Butler)

「怖がらせる音楽」というコンセプトのもと制作された、重苦しい雰囲気を持つ作品。
重いトーンと、ギターのリフへ追従するようなフレージングで楽曲に華(この場合は違うか?)を添えるのはやはりGeezer Butlerのベース。
彼のとった手法がメタルという分野におけるベースの基礎となっているように思えます。
地味に聴こえますが、世界観を左右する要素としてのベース、という点で素晴らしいアプローチを聴かせてくれます。
だって、この曲でピロピロ弾きまくってたらおかしいもんなあ。一歩引いて、という美学。
Black Sabbathから影響を受けたバンドは…メタルならどれでもってことになるのかな?
Iron Maiden(b.Steve harris)の『Powerslave』、Children of Bodom(b.Henkka Blacksmith)の『Hate Crew Deathroll』なんかいかがでしょう。


Fourplay / Fourplay(b.Nathan East)

スムース・ジャズのバンド。ジャズ界の大物(あまり詳しくは知らないけど)が集まったのに、こんな主張の少ないバンドでいいの?
だがしかし、「やれないからやらない」のと「やれるけどやらない」は違う!ということがよくわかる音を出します。
Nathanのプレイは出しゃばらない、というより基本地味。Harvey Mason(Dr.)とともにバンドの土台を作ります。
たまに聴かせてくれるスラップも決してバチバチやらず、あくまで曲に自然に溶け込みます。けど、そこが重要!雰囲気を壊したら最悪ですから。
もうすぐ還暦を迎えるNathanですが、笑顔がとってもキュートでお茶目です。人柄がプレイによく出ている最も良い例ではないでしょうか。
関連ディスクは…スタジオミュージシャンなので参加アルバムは膨大。聴いたことないのばっかり…。なので、
「やれるけどやらない」バンドとしてASIAの『Anthologia』(ベスト盤)、John Wetton(b.vo)繋がりでKing Crimsonの『Red』などいかが?Nathan関係ねえ。


What's Going On / Marvin Gaye(b.James Jamerson)

曲によってはJamersonのベースではないのかもしれませんが。これもベース名盤といえば必ず挙げられる作品です。
弾力のある素晴らしいトーンと、彼もまた歌心のある素晴らしいベースラインを聴かせてくれます。タイム感も心地よい。
彼はどんな曲も「ザ・フック」と呼ばれる強靭な人差指だけで弾き通していたといわれています(諸説あり)。
それに加えてベース自体のセッティングは弦高が非常に高かったらしく、そのためにあのプリッとした音が生み出されていったのか。
トーンのためにプレイアビリティを捨てるという(彼にはそれが普通だったのだろうけど)ストイックな姿勢が非常にクールです。
モータウン繋がりでThe Temptationsの『the Ultimate Collection』。ベスト盤。これまた良い音だ。
あとは最近のお気に入りでScoobie Do(b.ナガイケジョー)の『LIVE CHAMP』(LIVE盤)。ロックとR&B・Funkのミックスといった風情です。


はっぴいえんど / はっぴいえんど(b.細野晴臣)

日本語ロックの先駆けとなったはっぴいえんど。その経歴を知ると、今の邦楽ロックへの貢献度はすさまじいとわかります。
細野晴臣のフレーズはこれまた派手には聴こえないのですが、歌心が満載。素晴らしい。
トーンもまた良くて、日本情緒の溢れる曲にマッチしています。あと、彼らからはなぜか「海外」を感じないんですよね。すげえ。
やはり必要なところだけおさえておけばそれで充分なんだ、ということを教えてくれます。
ベースとは関係ありませんが、松本隆(Dr.)の書く詞が遊び心があって素晴らしい。M6がオススメです。
まだ有名曲しか知らないんですが、Yellow Magic Orchestraの『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』。Tong Pooが収録されてるから。
また、彼のフェイバリット(らしい)、Chuck Raineyが参加したSteely Danの『Aja』。これからチェックします。


Jaco Pastorius / Jaco Pastorius(b.Jaco Pastorius)

雑誌の企画でベース名盤といったら必ず名前が挙げられるほどの作品。
発表当時Jacoは24歳。24歳でこのプレイスタイルを確立させたってどういうこと?って言いたくなります。
Jaco以降のベーシストで、Jacoから影響を受けていない者はいないとなにかに書かれていたような。
まずM1に度肝を抜かれます。あれだけ綺麗な音をさらりと弾きこなしてしまうテクニック。それからM3でしっとりと歌わせる。
しかし、やはり特筆すべきはM5じゃないでしょうか。ハーモニクスで構成された音世界。よくもまあ、という感じです。
関連ディスクはJacoがかつて在籍していたWeather Reportの『Heavy Weather』。Jaco作曲のM3が強烈でした。
それと、「Next Jaco」と言われるフランス人ベーシストHadrien Feraudを挙げます。が、アルバム持ってません。ちゃんと聴きたい。


EDEN / LUNA SEA(b.J)

ピック弾きでグルーヴするベーシストといえば僕の中ではこのLUNA SEAのJ。敢えてEDENをチョイス!
バンドのグルーヴがすごい。それを支える核となっているのは間違いなくリズム隊の真矢(Dr.)とJでしょう。
このアルバムでは特にM1。ゴリゴリな音がカッコイイ!ライブ映像もチェックしてください。CDとは違った味わいがあります。
フレージングももちろん素晴らしいですが、やっぱりピッキング。とにかくカッコイイよ。
余談ですが僕は終幕後にハマったクチで、リアルタイムで体験したかったななんて思ってましたが、活動再開するみたいです。楽しみ。
関連ディスクはまず、Jがファイバリットとして挙げているJoan Osborneの『Relish』。こういうのが好きだとは。意外。
次にthee michelle gun elephant(b.ウエノコウジ)の『ギヤ・ブルーズ』。Jとウエノコウジってプレイも、立ち居振る舞いも似てる気がするんだよね。


Pork Soda / Primus(b.Les Claypool)

RHCPのFleaがベースヒーローなら、このLesは裏ベースヒーロー。また、亀田誠治を正統派変態と表現しましたが、Lesは変態の中でも異端。
どんなエフェクトかませてるの?的な妙なサウンドで、タッピング・ラスケアード・3フィンガーと変態技をおしみなく披露します。
それだけでは飽き足らず、両手で超絶技巧を繰り出しつつ、ヴォーカルまでとってしまうことも。アホか。
これがまた素頓狂な声で、妙な曲に妙にマッチ。とにかく妙なんです。好きな人はトコトン好き、嫌いな人はトコトン嫌いかも。
音選びもギリギリアウトな感じがして、それがさらに妙な具合をアップ。この人の頭の中は一体…?
RUSHの『Moving Pictures』。Geddy Leeからの影響が強いようで、Geddyもベースを弾きながらフットペダルを演奏しさらに歌を歌います。
もう一人Lesに影響を与えた人物がStanley Clarke。Return to Foreverの『Return to Forever』でどうだ。


いろんなところからチョイスしましたがどうでしたか?ベーシストに限らず、興味があったらぜひ聴いてみてください。